採用活動の主力としてオウンドメディアを使う事例が増えてきています。これは、インディードのオウンドメディアリクルーティング®の影響もあるでしょうが、オウンドメディアのメリットがうまく活かされたことが大きな原因でしょう。
ここでは、オウンドメディアによる採用活動のメリットと採用戦略の進め方のコツ、成功事例について解説していきます。
オウンドメディアによる採用活動とは|人材紹介、求人サイトに頼らない求人活動
オウンドメディアとは、「自社が運営するメディア」のことであり、トリプルメディア(オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディア)のひとつです。Webサイトはもちろん、カタログ、パンフレット、社内報・会報、などのメディアもオウンドメディアとなります。ただ、現状は、自社運営のブログやブログ形式の情報メディアを指すことが一般的です。
オウンドメディアによる採用活動では、オウンドメディアリクルーティング®という言葉を目にすることが多いかもしれません。実際、「オウンドメディア 採用活動」などのキーワードでGoogle検索すると、オウンドメディアリクルーティング®に関連した記事がヒットします。
オウンドメディアリクルーティング®もオウンドメディアによる採用活動ではありますが、オウンドメディアリクルーティング®はindeedが登録商標した独自の表現です。ある意味、オウンドメディアリクルーティング®はオウンドメディアによる採用活動ビジネスのなかで、最も有名な成功事例と言えるかもしれません。
オウンドメディアによる採用活動のメリット
オウンドメディアを使って採用活動することのメリットは、オーガニック検索流入が期待でき、自社の考えを届けたいユーザーにリーチできることが挙げられるでしょう。これは、採用活動の人材コスト、経費コストの削減につながり、優秀な人材を獲得することに役立ちます。
オウンドメディアによる採用活動のメリットの詳細は、以下の通りです。
自社の魅力をアピールしやすい
オウンドメディアによる採用活動が注目される原因には、仕事に対する価値観の多様化が関係しています。求人サイトや人材紹介では、給与や休日など基本的な情報しか紹介できませんが、オウンドメディアでは、自社で働くことのメリットを詳しく紹介できます。
採用される側のメリット
自社の魅力を細かくアピールすることで、自社にマッチした多様的な人材を多角的に集めることができます。これは、多種多様な優秀な人材を採用することにつながり、採用される側にとっても希望した会社に就職しやすいというメリットがあります。
自社のミッション、フィロソフィーにあった人材を採用できる
コーポレートサイトでは、企業情報が細かく紹介できないことも多いです。また、ミッションやフィロソフィーが変わったり、ファネルが変わったりすれば、欲しい人材も変わってきます。
オウンドメディアは、情報の細分化や更新が得意です。自社の状況や時期に則した情報を発信できるので、「自社の現在」にマッチした人材を採用しやすくなります。
採用される側のメリット
オウンドメディアで情報を集めることで、企業のことを深く知ることができます。どのような企業かを事前に知ることは、企業側のコスト削減だけでなく、求職者の手間の削減につながるメリットがあります。
活躍できる人材、会社を選びやすくなる
どのようなことが得意か、どのようなキャリアパスを希望しているかなど、個人の能力や考え方は多種多様です。オウンドメディアで自社の情報や希望する人材を細かく発信することで、自社で活躍しやすい人材を集めやすくなります。
採用される側のメリット
オウンドメディアで企業側の考えや必要な人材を知ることができれば、自分がそこで活躍できるか、活躍したいかをイメージしやすくなります。今後のキャリアパスもイメージしやすくなるでしょう。これは、採用される側にとっても大きなメリットです。
ミスマッチ採用を減らせる
オウンドメディアで企業情報や採用情報を細かく紹介することは、企業側にとっては、よりマッチした人材の採用につながり、採用される側にとっては、よりマッチした企業への就職につながります。
希望していない人材の採用、企業への就職「ミスマッチ採用」は、企業側にとっても採用される側にとっても、デメリットにしかなりません。ミスマッチ採用を減らすことは、コスト削減につながるだけでなく、企業の利益やビジネスチャンスの創出、社員の幸福度の向上につながり、企業と社員の関係性もより良いものになります。
潜在層にリーチさせることで隠れた人材を発掘できる
オウンドメディアは「潜在層」へのリーチが得意です。SEO対策などを使えば、さらにリーチすることができます。潜在層へのリーチは、隠れた人材の発掘につながり、おもに転職での優秀な人材採用につながります。
採用活動の施策が企業資産になる
オウンドメディアによる採用活動では、PDCAを回しながら施策を取り続ける必要があります。採用活動で蓄積したデータや施策は、採用力の向上に直結し、企業の資産になります。また、オウンドメディアで発信した情報は、インターネット上に残り続けるので、企業のブランディングにも役立ち、オウンドメディアによる採用活動を続けることで、ブランディング資産も蓄積することができるのです。
求人サイトや人材紹介との違い
求人サイトや人材紹介は、手軽に手間なく採用活動ができるというメリットがあります。一方で、掲載期間や募集期間、内容の制限・制約などがあるため、企業の詳細や採用条件をアピールしたり、マッチング人材や潜在層へのリーチは難しいです。
また、運営会社に依頼することになるので、一般的には費用が発生します。
オウンドメディアによる採用活動の成功事例
オウンドメディアによる採用活動の成功事例は多く、企業ごとに特徴も違ってきます。ここで全てを紹介することはできませんが、参考にしやすい例をいくつか紹介していきましょう。
インディード
インディード自体の採用活動としてオウンドメディアを使っているというよりも、オウンドメディア採用(オウンドメディアリクルーティング®)のビジネスモデルが有名です。オウンドメディアを使った採用活動のサポートを行ったり、インディードを使っての自社情報の発信のサポートをしています。
インディード自体は求人サイトですが、オウンドメディアに近いかたちでの採用情報発信が無料でできます。試験的にオウンドメディア採用を行ってみたい、オウンドメディアを構築する予算や人材リソースを確保できない場合は、検討してみても良いかもしれません。
メドレー
メドレーは、医療領域における人材プラットフォームやオンラインシステムなどの医療プラットフォームを提供している企業です。メドレーは、メドレーオフィシャルブログを展開し、社員情報と自社サービスや自社情報をリンクさせ、メドレーに興味がある層への採用活動に役立てています。
LINE
LINEは、On LINE(LINE HR BLOG)で社員情報や社員の活動、ワークスタイルなどを発信し、自社の理解を深めています。紹介されている社員が多いので、どのような人とどのように仕事をしていくかイメージしやすく、「安心して働いて欲しい」という企業側の理念が現れたオウンドメディアです。
メルカリ
フリマアプリではトップシェアを誇るメルカリは、mercan(メルカン)という採用専用のオウンドメディアを展開して、社員の拡大のを成功させています。メルカンでは、最新の人事制度や企業情報、部署ごとの取り組みなどを発信しているので、採用力の向上だけでなく、社員同士のコミュニケーションの円滑化にも役立っているそうです。
Sansan
TVCMでも有名な名刺管理サービスを展開しているSansanは、コーポレートサイトとは別に採用専用オウンドメディアを運用しています。企業理念やミッション、事業内容、CSV活動などの詳細な紹介をスタイリッシュに紹介することで、採用活動をスムーズにしています。自宅勤務、家賃補助、リフレッシュ休暇、育児サービス補助などの独自の福利厚生も詳しく紹介しているので、ライフケアバランスを重視している層の獲得がしやすようです。
チャーム・ケア・コーポレーション
チャーム・ケア・コーポレーションは、介護付き老人ホームを運営している企業です。チャームPOINTというオウンドメディアで、運営している老人ホームのイベントなどを紹介しながら、採用活動を行っています。
採用オウンドメディアのおもな目的は「介護業界へのマイナーイメージ」の払拭です。独自サービスの紹介や現場のスタッフ、人事・管理職の「生の声」を伝えることで、求職者の不安を取り除き、スムーズに採用、就職ができるようにしています。
BAKE
サクッとしたクッキー生地とフレッシュでふわふわ、クリーミーな生地で一躍人気になったベイクドチーズタルトメーカーのBAKEは、THE BAKE MAGAZINEというオウンドメディアで求人活動をしています。店舗数100以上、従業員数1200人以上の成長を遂げたのも、オウンドメディアによる採用活動が実を結んだ結果かもしれません。
THE BAKE MAGAZINEで、自社の情報とあわせて食品業界のお役立ちコンテンツを発信することで潜在層にリートさせ、優秀な人材採用につなげています。
ドーミーイン
ドーミーインは、共立メンテナンスが運営するビジネスホテルです。ドーミーインこぼれ話というオウンドメディアで、研修内容や新規事業、海外展開などを紹介したり、ホテルスタッフのインタビュー記事で生の声を届けることで、幅広い人材の獲得に成功しています。ドーミーインこぼれ話は、宿泊客の潜在層へのリーチにも成功していて、採用活動だけでなく、集客活動の成功にも役立っているそうです。
オウンドメディアによる採用活動の運用方法
オウンドメディアによる採用活動には、優秀な人材の獲得と採用コストの削減というメリットがある反面、CVまでに時間がかかり、超短期、短期で考えるとコストが割高になるというデメリットがあります。また、SEO対策やWebマーケティング、オウンドメディア運営の知識とリソースも必要です。
オウンドメディアによる採用活動を考えたときは、まず、以下のことをクリアしましょう。
社内の協力体制、リソースの確保
採用活動と考えたときには、オウンドメディアを利用することへの社内理解が必要です。運営に協力してもらえるのか、情報提供に協力してもらえるのかを洗い出しましょう。そのうえで予算を設定したほうが企画を通しやすいです。
マーケティング施策
オウンドメディアのメインチャネルは、自然流入です。SEO対策が大切になってきますので、必要な施策ができる準備をしておきましょう。また、デジタルサイネージやSNSを使ったクロスメディア戦略も効果的なので、どのタイミングで導入するかKPIを設定しておいてください。自社でできない場合は、プロに外注してもかまいません。
自社の魅力の見える化
コーポレートサイトで紹介していることはもちろん、さらに深層の詳細な情報を発信できたほうが、ミスマッチを回避しやすくなります。社内の声、資料などできるかぎり集めましょう。また、情報は書き出す、データ化するなどして目視化(見える化)しないと、使いにくいです。集めただけで満足すせず、きちんとアウトプットしてください。
発信情報、ターゲットの設定
発信する内容やターゲットは、より詳細に設定したほうが、優秀な人材を採用しやすくなります。ペルソナ設定をきちんと行ったうえで、キーワードやテーマ設定を行いましょう。
オウンドメディアの作成方法、運営方法の決定
オウンドメディアには、さまざまな作成方法、運営方法があります。どのやり方が自社にマッチするかの見極めが必要になりますが、まずはすでにあるメディアを活用するか、新しくメディアを立ち上げるかを決めてください。
オウンドメディアの作成方法については、以下も参考になりますので、ぜひ御覧ください。
▼ オウンドメディアの作り方|成功事例とCVを意識して作れば結果が出る
オウンドメディアで社員教育も可能
オウンドメディアを使って、企業情報やサービス情報、採用情報を発信することは社員教育にも役立ちます。責任者の管理のもと、2〜3年目の社員に運営させることは、企業のブランディングや認知度の向上にもつながり、自社情報の深い理解にも役立ちます。また、オウンドメディア運営で得た知識や経験は、採用後の新人へのハブとしても役立つ、継承されていくことでしょう。
実際、マーケ・グロースにも、オウンドメディアでの採用活動で社員の成長が見られたという声が多く届いています。SNS、マスメディアなどの他のメディアも組み合わせながら、採用と育成のKPIにあわせた施策を任せてみましょう。
まとめ|オウンドメディアによる採用は企業の資産になる。低予算でも始められるので丁寧な施策を
オウンドメディアによる採用活動のメリットは、採用コストの低減と優秀でマッチ度の高い人材を獲得できることです。また、オウンドメディアで発信した情報は後々も残るので、ブランディング、集客面での資産にもなりますし、PDCAの繰り返しにより得た情報と経験も大きな資産になります。
オウンドメディアを作ると考えると、コストが大きくかかるようにイメージされやすいですが、低予算・低コストでの運用もできます。大切なことは、自社の魅力と欲しい人材のイメージを明確にし、どのようにオウンドメディアを運営するか丁寧に施策を考えることです。自社に運用できる人材がいない場合は、CVやKPI設定、運用タスクの設定だけを委託するのもひとつの手段です。まずは、自社の現在の状況と将来像を見える化しましょう。
マーケグロースがオウンドメディアを作るときにお役に立てること
チーム・マーケグロースは、オウンドメディア運用とSEO対策が得意です。また、契約上表には出せませんが、オウンドメディアを利用した採用、社員教育の情報も多く持っています。オウンドメディアの作成・運用をはじめ、CVストーリー・KPIの設定、自社の魅力や採用ビジョンの見える化などのお手伝いも可能です。
「サイト構築はできるから、自社にあわせた指示書・計画書を作って欲しい」「立ち上げから運用までやってほしい」など、御社の状況にあわせたお手伝いもできます。まずは、御社のHPや商品・サービスをチェックしたり、悩みをお聞きすることで見えてくる施策もあるはずです。御社の成長=グロースのために、ぜひお気軽にご相談ください。
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